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遺言書がない場合の相続手続きはどうなるの?
~遺言書がない場合の手続きの進め方と注意点~

相続の場面において、必ずしも遺言書があるとは限りません。遺言書がない場合には、所定の手続きを経て相続手続きを進めていく必要があります。

この記事では、遺言書がない場合の相続手続きについて、何をなすべきか、注意点を中心にわかりやすく解説します。
相続手続きを進めようとしている方に、知っておいてほしい知識を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.遺言書がない場合の相続手続き(結論)

1-1. 基本的には遺産分割

亡くなられた方(被相続人)が遺言書を遺していない場合、相続手続きを進めるにあたっては、基本的には相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議というのは、法律上定っている各人の相続分に変更を加える相続人間の話合いのことです。遺産分割協議をすることにより、当事者間で合意した自由な割合で相続することが可能となります。なお、当事者間で遺産分割の話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判手続きを経て相続分が決まります。

【遺産分割の例】

・「不動産はAさん、預貯金はBさんがそれぞれ取得する」

・「遺産は全てAさんが取得し、Bさんは何も取得しない」

・「遺産につき、Aさんが60%、Bさんが40%の割合で取得する」

1-2. 特殊なケース

遺言書がない場合、基本的に遺産分割を行うケースが多いですが、被相続人が生前に死因贈与契約や家族信託契約を締結していた場合には、それらの契約の定めに従って取得できる遺産が決まることがあります。これらの契約の定めは、遺産分割に優先しますので、契約の定めに従い相続人間で遺産分割を行わずに遺産の取得者が決まります。(場合によっては第三者が取得することもあります。)

2.相続分の目安について

遺産分割を行うにあたって、分け方の目安になるのが法律上定っている各人の相続分(法定相続分)です。本記事では解説を省略しますので、詳しくはこちらをご参照ください。

【参考記事】
【5分でよくわかる】法定相続人と法定相続分を図でわかりやすく解説|よくある勘違いと注意点も紹介

3.遺産分割時のポイント

3-1. 話合いの際の姿勢

遺産分割は家族間の話合いになりますので、場合によっては感情がぶつかり合い、そのまま協議がまとまらないといったことも考えられます。上述のとおり、遺産分割がまとまらない場合、家庭裁判所の手続きが必要となったり、弁護士を立てたりする必要が出てきてしまうことがあります。そうなってしまうと、時間と労力、金銭的にも大きな負担が生じます。そうならないためにも、話合いにおいては相手の気持ちや意見を尊重する姿勢が大切になります

3-2. 介護や世話をした相続人への配慮

高齢の親の相続の場面において、介護や世話をしていた相続人の相続分は揉めやすいポイントです。法律上、寄与分といって貢献した相続人が多めに相続分を取得できる制度はありますが、寄与分の取得するためには、親の扶養義務の範囲内の貢献では足りず、介護等により被相続人の財産維持や形成に貢献したことが必要となります。例えば、仕事を辞めて介護に専業した結果、プロの介護士へ依頼する費用を抑えることができたことなどがこれに当たります。このように介護等の事実だけで寄与分が決まるものではないため、介護等に貢献してきた相続人の不満が生じやすく、遺産分割において揉めやすいポイントとなります。こうした事態を避けるために、介護等に貢献してきた相続人に寄り添う姿勢、すなわち貢献を認め、それに報いる内容の遺産分割が大切となります。

3-3. 不動産の評価方法について

相続財産中に不動産が含まれる場合は、遺産分割における評価方法について揉めることがあります。金銭であればその金額が分割する基準となりますが、不動産の場合はいくつか評価方法があり、どの方法を採るかによって分割の基準となる額が大きく変わってきます。特に、相続人の一人が不動産を取得して代金を他の相続人に支払う方法(代償分割)を行う際に、次のいずれの方法をとるかで支払額が大きく変わってきますので、注意が必要です。

①実勢価格による方法
不動産の市場価格を基準に決める方法です。不動産鑑定士による鑑定価格、不動産業者による査定価格、いずれかを用いて決める場合が多いです。不動産鑑定士による鑑定価格は客観性が高く、不動産業者による査定価格はより市場の価格を反映したものになりやすい、といった特徴があります。

②公的価額による方法
国や自治体が決定した公の価額を基準に決める方法です。固定資産評価額、相続税評価額、地価公示価格などを用いて決めます。いずれの方法しても、公的な数字のため客観性が強いですが、実勢価格と比べると7割から8割ほどの評価額となるのが特徴です。

4.これから相続対策を検討する方へ

遺産分割は相続人にとって大きな負担です。無用な争いに発展することもありますので、できるのであれば遺産分割を行わないで相続手続きができる方法をととのえておくに越したことはありません。遺された家族の負担を減らし、円満な相続を迎えるためにも、ご自身の相続のことを考え始めた方は、遺言書を遺しておくことをおすすめします。遺言書にもいくつか種類がありますが、公文書形式の公正証書遺言であれば、確実性、相続人の負担軽減につながりますので、より円満な相続を実現しやすいでしょう。

まとめ

司法書士長濱事務所
代表司法書士 長濱 勇太
はじめてでも安心の相続へ

遺言書がない場合、基本的には遺産分割を行っていくことになりますが、遺産分割は相続でトラブルになりやすい大きなポイントです。仲の良かった家族でも、いざ多額の遺産を目の前にすると自身の取り分を考え、納得いかないと感情的にぶつかり合い、家族仲が決裂してしまうこともあります。

私自身の実務経験として、親の遺産分割がきっかけで長年疎遠となり、20年以上経った後に再開し、仲直りしたというケースも見てきました。家族であっても、他者として意見や考えを尊重し、思いやることが、遺産分割においては特に大切だと感じています。

当事務所においては、相続登記や遺産整理の一環として、遺産分割協議書の作成、必要に応じて協議時のアドバイスをさせていただいております。円満な相続となるよう相続専門家としてサポートいたしますので、お悩みの方はぜひご相談ください。

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