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遺言書を2通見つけたけど、どちらが有効…?
~遺言書が複数ある場合の有効性について相続専門家がわかりやすく解説~
「机の引き出しに遺言書が2通あったのですが、どちらが有効でしょうか?」
多くはない事例ですが、このようなご相談を受けることがあります。本記事では、遺言書が複数ある場合についての有効性について、専門用語をなるべく噛み砕いて説明していきます。
法律上、遺しておくことができる遺言書通数に制限はありませんので、生前に複数の遺言書を書いておくことが可能です。ただし、日付が古い遺言と日付が新しい遺言が矛盾する場合は、矛盾する箇所については古い遺言が撤回したものとみなされ新しい遺言が有効となります。
たとえば、令和7年1月1日付の遺言においては「世田谷区の不動産を相続人Aに相続させる。」とされていたが、令和8年1月1日付の遺言においては「世田谷区の不動産を相続人Bに相続させる。」とされていた場合は、それぞれの遺言の内容は矛盾することになりますので、令和7年1月1日付の遺言の「世田谷区の不動産を相続人Aに相続させる。」としている箇所は撤回したものとみなされ、令和8年1月1日付の遺言が有効となります。
作成日付が異なる遺言書が複数存在する場合は、基本的に日付が新しいものが有効となります。ただし、新しい日付の遺言が有効となるのは古い日付の遺言と矛盾抵触する箇所ですので、矛盾抵触しない箇所までも古い遺言が撤回されたものみなされるわけではありません。
たとえば、令和7年1月1日付の遺言においては「世田谷区の不動産と目黒区の不動産を相続人Aに相続させる。」としていましたが、令和8年1月1日付の遺言においては「目黒区の不動産を相続人Bに相続させる。(世田谷区の不動産については特に記載なし)」としていた場合は、目黒区の不動産の相続先が矛盾することになりますので、この箇所については古い日付の遺言が撤回したものとみなされます。一方で、世田谷区の不動産については、相続先が特に矛盾しませんので有効なままとなります。
作成日付が同一の遺言が複数ある場合、先後関係が明らかであれば後に作られた遺言が有効となります。しかし、先後関係が不明な場合は、矛盾抵触する箇所についてともに撤回されたものとみなされ無効となります。
たとえば、令和7年1月1日付の遺言が2通あり、それぞれ「世田谷区の不動産を相続人Aに相続させる。」、「世田谷区の不動産を相続人Bに相続させる。」としていた場合には、相続先がともに矛盾しますので、2通の遺言書は矛盾抵触する箇所についてはともに無効となります。しかしこの場合に、それぞれの日付に後に時間や午前午後などの記載があり、先後関係が明らかなときは、より最新に作成された遺言が有効となります。
自筆証書遺言(私文書の遺言)で作成された遺言と公正証書遺言(公文書の遺言)がそれぞれ存在する場合は、一見、公文書で作成された公正証書遺言が優先すると思われがちですが、この場合にはついても、矛盾抵触する箇所については日付が新しい遺言が優先されることになります。
たとえば、令和7年1月1日付の公正証書遺言と令和8年1月1日付の自筆証書遺言がある場合において、公正証書遺言では「世田谷区の不動産を相続人Aに相続させる。」、自筆証書遺言では「世田谷区の不動産を相続人Bに相続させる。」としていた場合には、日付が新しい自筆証書遺言の記載が優先されることになります。ただし、自筆証書遺言であっても、作成方式(書き方)法律に適合していないと無効となってしまいますので、日付が新しいものがあるからといって必ずそれが優先されるとは限らない点に注意が必要です。
重複しますが、複数の遺言がある場合、古い遺言につき撤回されたものとみなされる箇所は新しい遺言と矛盾抵触する箇所に限られ、それ以外の箇所については有効なままとなります。
たとえば、令和7年1月1日付の遺言においては「世田谷区の不動産を相続人Aに相続させる。」とし、令和8年1月1日付の遺言においては「目黒区の不動産を相続人Bに相続させる。(世田谷区の不動産については特に記載なし)」としていた場合は、いずれの遺言も矛盾抵触しませんので、ともに有効となります。よくあるケースとして、不動産を追加で購入したり、預貯金口座や証券口座を開設した場合に、追加で遺言を書いたため、複数の遺言書が存在するといったことがあります。
遺言書が複数あり問題となるのは、遺言を書いた方(遺言者)が亡くなり、その相続人間で相続手続きを進めていく場面です。手続きを進めていく場面で遺言書が複数あると、遺言者の真意が何なのかが分からず、それが原因で争いに発展することもあります。また、法律上は新しい遺言が優先されるとしても、法律職でない限りはそれを知らない可能性が高く、感情もつれから無用なトラブルのきっかけにもなりえます。そういった事態を回避するためにも、なるべく複数の遺言書をのこさないことをおすすめします。遺言書を書き換える際は、古い日付の遺言書は破棄するといいでしょう。また、公正証書遺言書き換える際は、自筆証書遺言での書き換えをなるべく避けることをおすすめします。たしかに自筆証書遺言で書き換えることについて法律上は問題ないですが、一般的に公文書の方が優先度が高いと思われがちな点、自筆証書遺言は作成時に本人の意思確認が行われないため本人の意思にもとづき作成されたかについて後日争われる可能性がある点で、相続人間の争いの種になるおそれがあります。公正証書遺言を書き換える場合は、費用はかかりますが相続人のためにも公正証書遺言で書き換える方がよいでしょう。
司法書士長濱事務所
代表司法書士 長濱 勇太
あなたの大切な想いをカタチにします
遺言書は、争族回避、遺産分割対策といった点からも、相続対策においてとても重要な方法です。
しかし、書き方や作成の仕方を間違えてしまうと、遺された相続人間で余計なトラブルが生じてしまう可能性も秘めています。遺言書は、自分のさいごの意思実現のツールである同時に、遺された相続人のために想いを伝えるさいごの手段であることを念頭におき、相続人を惑わしてしまう内容や作成方法は避けるべきでしょう。
ここまで遺言書が複数存在する場合について解説いたしましたが、「記事を読んでもわからない」「煩雑な手続きを自分たちでやるのが難しい」という方は、ぜひ専門家に相談することをおすすめします。当事務所でも、理想の相続に向けた、遺言書作成やその他の相続対策をサポートさせていただきます。
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